☆*:星降る夜に鈴の音.:*☆誠の華


土方side


ズキッ… と背中が痛んで
土方は ゆっくりと目を覚ました。


『…ぅっ…ぐ…』「トシ?起きたのか⁉︎」

声のした方を見ると 近藤さんが
心配そうに 俺を見ていた。


なんで俺はこんなところに寝ているんだ
ああ、そうだ 俺は 池田屋で、傷を受け
たのか 。


たしか、鈴が居なくなって
総司が 気をうしなっちまって。

総司を引きずって階段を降りて、力を降り切ったところで 斎藤に助けられて
気を失った。



途端に頭が回ってきて ガバッと
起き上がろうとすると また背中に激痛が走った。


「…ッ〜…⁉︎」 「トシ、落ち着け」

布団に戻されて近藤さんが
眉間にしわを寄せた。


「近藤さん…総司は、どうした?
平助は…?……鈴…は?」


「…総司は寝込んでいる…平助は峠を越えて命に別状は無い。……鈴君は行方不明だ。」

「そう…か」

土方は深く息を吐いて 目を閉じながら
返事をした。

「二階に、これが。」



布団の上に出した俺の手に 近藤さんが
何かを掴ませた。


目を開けてみると 血に汚れた
新撰組の羽織。


だが随分と、小さい。




ああ、これは



「鈴の、か」「ああ、おそらく。鈴君は未だ行方不明で今探しているんだが」

芳しい情報はない、と近藤さんが言って
寂しそうに目を伏せた。


近藤さんの目が赤い


「…無事ならよかった。じゃあ」


近藤さんはそう言って部屋を出ていった


「…フン」


ふてくされたように、鈴の羽織を
畳に放り投げる。


「…元から安心する場所にいたら…
人斬りなんてしねーだろ」

どこに行きやがったんだ、あの
家出バカ娘。 いや家出じゃねえな。
組出、か。


ばふ、と枕に顔を埋めて息を吐く


ズキッ、とまた背中が痛んだ


…あいつにこの傷を付けられた
時を思い出す。


『ごめんね…痛かったよね』

絶望したように目を揺らして
小さく言った。


血にべったり汚れた頰が 涙で濡れて
月に照らされた。


『もう…バイバイだね ごめんね。』


何度も謝罪を
アイツは繰り返した



あの中で痛みを負うのは 俺だけでよかった、だからあの判断は間違っていねえ。


なのに、なんでテメェが泣く?

俺のこと 嫌いなんだろうが。



もどかしかった。
赤い頰に涙がこぼれ落ちていくのは…



息を呑むほど美しかったから。
それを拭って消したかった。







とんだ馬鹿野郎だよなぁ…俺は



鈴が消える時に、鈴に惚れてんのに気づいても、遅すぎるんだよ。







「…あぁ…馬鹿だな。」



俺は自嘲気味に笑った



だが。これで終わる気は更々ない



「局中法度…があるからな」


必ず、捕まえて 連れ戻してやる


俺はそう考えながら力尽きて
深い眠りに落ちた