ー激戦がはじまった。
『ハアアッ…‼︎』
ザシュッ‼︎と肉を断つ音が耳に直接聞こえる。 手にべったりと血が付いて
赤く光った。
切りつけると簡単に人は転がって
動かなくなる。 それを何度も繰り返して
人を殲滅させていく。
鈴の音が 闇夜を切り裂くようだった。
響いた鈴の音と同じように 人が
倒れていく。
まるでその鈴の音が 死者への手向けのように、美しく響いた。
『てやあッ』
浪士たちを斬っては投げ、斬っては投げ
を繰り返していると奥の部屋から新八の
悲痛な声が耳に届いた
「畜生っ!死ぬなよ!平助っ」
『っ…』
気づくと私は風のように走っていた
そして、声のした部屋へ飛び込んで
敵を切り伏せる。
『どうした‼︎新八⁉︎あんな声…て、
ウワッ お前らっ…』
無我夢中で敵を切り、新八の方を振り返ると 新八は平助を抱きかかえていた。
「平助が額を切られちまった…っ」
平助を見ると 額からドクドクと血が流れている。 それに、新八の手だって
肉がこそげたようになっている
『お前たち…早く手当てをしないと!』
「俺は痛くねーからいい!早く平助を」
無我夢中で 自分の袖を平助の傷にあて
血止めをする。 すると平助はうっすらと目を開けた
「お…れ…。斬られたの、か」
『大丈夫だッ…!必ず死なせはさせない!』
「…は、はは…なさけねえ…俺」
平助は哀しそうに目を細めて その
仕草に 私は慌てた。
『新八‼︎平助を池田屋外にもっていく!付いて来いッ』 「オウッ」
無傷な私は 無我夢中で平助を担ぎ上げあげて 池田屋の外まで引きずり出した
そして、地面に横たえる。
その頃には平助は気絶して目を閉じていた。 私は新八に静かに伝える
『お前たちは、土方を待て。
アイツなら必ず来てくれるはずだ それまで耐えろ…私は中の奴らを殲滅していく。後は頼んだぞ、新八』
「任せろって」
新八が力強くうなずいたので
私はまた池田屋に飛び込んでいった。
血の匂いが鼻につく。
悲惨な池田屋の中を気にも止めずに
近藤さんを探した
『近藤さんッ』
近藤さんを見つけて周りの敵を切り伏せると 近藤さんは私を見て言った
「鈴君、ここは大丈夫だ
それよりも総司を見に行ってくれ。
総司は今2階に行っている 総司に限って負けませんだろうが…敵は相当の手練らしい、手傷を負うかもしれん。
行ってくれっ!」
近藤さんはそう言って敵の人を倒した。
私は迷ったが 近藤さんの頼みだ
無下にはできない。
私はうなずいて
池田屋の2階を目指した。

