「でさ――――――」

その時だった、廊下からパタパタと足音と、聞きなれた2人の声が聞こえてきた。

葉月くんも気づいたのか、パっと手を離し、小さな声で「続きはまた今度で、」と呟いた


ガラっと2人が教室の扉をあけた時には、葉月くんは完全にあたしから離れていて、「おかえりなさいー」とそう何事もなかったように言った。


「遅くなったな、…ってあれ、柚、どうした?」

陸は壁にもたれるようにして、立っているあたしにそう言った。


「あっ、え、何でもないよっ、おかえり」

あたしは気付いたらそう返したいた。


「俺ちょっと、飲み物買ってきます」

葉月くんはどう言うと小走りで教室を出て行った。