次の日、日中は1年生のオリエンテーションの手伝いと歓迎会で授業はなく、放課後、歩と陸は体育委員の集まりがあるらしく、あたしと葉月くんで先に準備しておくことになっていた。


「それにしても昨日、よく部室分かったね」

「結構迷いましたけどねっ…」

あたしたち軽音部は、唯一の防音室である音楽室を吹奏楽部に取られている為、迷惑にならないように旧校舎の空き教室を部室にしていた。



「あの」

楽器の説明をしていると、ふいに葉月くんは口をひらいた


「どうしたの?」

その時、あたしは葉月くんの方を見て少し驚いた。

うまく言えないけど、なんだか葉月くんはさっきまでの顔つきとは違うように見えたから


「柚先輩って、歩先輩と陸先輩とどういう関係なんですか?」

「えっ!た、ただの幼馴染だよ」

あたしは突然の踏み込んだ質問に驚きながらもそう言った


「本当に?」

そう言って、あたしの顔を覗き込む葉月くんの、目は明らかに妖しい雰囲気。

「う、うん
…葉月くん?急にどうし」

「じゃあ、堂々と狙っていいんすよね?」

あたしの言葉を遮るようにして、葉月くんはそう言った