「慈悲・・・?」


「姉様には酷かもしれませんけれどあの少女に涙を授けました。


・・・即ち、私たち夏目の巫女の呪いを受けてしまったのです。


・・さて、解呪(かいじゅ)する方法はなんでしょうか?」


「・・・・・・」


分からない。


「時間切れ。


正解は姉様が儀式を行い、呪いの力をコントロールする、でした。


幸いにも呪いをかけたのはあなたと同じ”姉”という立場の者。


姉同士、呪いのコントロールが可能なの。」


「・・・つまり、儀式を受けて助けろ、と?」


「うふふ、そうよ。


察しの良い姉様ね。


助けたければ儀式を行いなさい。


夏神には私が口添えをして禁忌を白紙にしてもらったわ。


さぁ、受けるなら今よ?」


「うあ・・・っ!」


雅さんも苦しみながら倒れる。


望美が涙を落としたようだ。


一刻の猶予も許されない。


「ふふ、紗夏様。


私たち、呪いの巫女の力は死者の躯を引き出すこと。


しかし、彼らは生きています。


なので、涙で一度殺害してから死者の躯として引き出すのです。」


「・・・っ!」


「躯が引き出されるまで約30分ほど。


さぁ、どうされますか?」


「・・・沙捺、儀式の間へ案内して!」


「分かったわ。


さぁ、ついてきて。」


私はおとなしく沙捺の後を追う。


今は記憶が消えるとか、そういう問題じゃない。


雅さんや百合香が死んでしまうかもしれない。


死活問題だ。


「姉様・・・?


姉様。」


「ん・・・?


あぁ・・・沙捺。」


ぼんやりと考えていると儀式の間へ着いたようだ。


「さあ、儀式の手順を教えますから。」


そういわれて簡潔に手順を教わった。