「禁忌を犯せばどうなるの・・・?」


「・・・さあ?


分かりません。」


首をかしげ、希美は言う。


「・・・これまで禁忌を犯したと言うような文献等は見つかっていません。」


望美が代弁する。


「・・・・・・っ。」


そっか・・・。


分からないんだ・・・。


「・・・うう・・・ああ・・・」


突然、遙香が苦しみだす。


手を差し伸べる暇も無いまま地面へ倒れこむ。


「大丈夫ですか・・・!?」


私は地面に座り込み、遙香の体をゆすろうと手を差し伸べる。


「ダメですっ!


彼女に触れないで!」


私の肩を望美がガシッとつかみ、仰向けに倒す。


「痛・・・っ!


何をするの・・・?」


「おそらく、夏神より言伝を受けているのだと思われます。


しばらくそっとしてください。」


望美の話によれば、遙香は夏神の使いの生まれ変わりだそう。


なので時々言伝を受ける。


受ける際は意識が夏神のもとへ転送される。


その際は少しの間息が止まる。


「・・・ん・・・」


しばらくじっとしていると遙香が目を覚ました。


「遙香さん・・・、大丈夫ですか?」


望美が心配そうに声をかける。


「・・ええ、大丈夫。


夏神様からの言伝です。


・・・今すぐ儀式を受ければ禁忌を免れることができる。


訳は儀式で話そう、と。」


「・・・結局は儀式なんですね?」


「・・・ええ、そうですね。」


私は幼いころにおぼえた儀式の注意点を思い出す。


一つ、儀式を行うには夏目の呪いが必要。


二つ、儀式を行えば自らを失う可能性がある。


三つ、儀式を行えば先代巫女と魂が合わさり、意思が共有される可能性がある。


「・・・ねえ。」


「・・はい?


どうされました?」


「この村を、探検してもいい?」


「・・は?


まあ、構いませんが。


なぜ・・・?」


「先代巫女と魂、つまり記憶が合わさっちゃう可能性があるんでしょう?


だったら、その前に村を探検したい。


幼いころはあまりできなかったからね・・・。」


「・・・ふふ、そうですか。


宜しいですよ。


望美、案内しなさい?」


「はい、わかりました。


それでは紗夏様、こちらへお越しください。」


望美はそう言って手招きをした。


数歩先に進み、私を案内してくれた。


「それでは・・・どこに行かれますか?」


「・・・崩壊した民家を見てみたい。


いくら崩壊してようとも生活状況が見れるかもしれないから。」


「・・・そうですか。


では、少し見てもらいたい場所がございます。


よろしいですか?」