「いい?
こっからよ。
はい、スタート」
吉元さんはそう言って、メタリックピンクの二つ折り携帯の画面を差し出した。画面にはストップウオッチのタイマーが表示され、同意も得ないままスタートを切られた数字はみるみる減っている。
「えっ?
ちょっ……ちょっと、待ってください。
私もセットします」
無慈悲(むじひ)な吉元さんのタイマーと私のスマホのタイマーは、数秒ずれた。
そして、同時に『ナイトの国』の住人に経緯(いきさつ)を伝える。すると、私を味方する力強いメッセージが湧き上がった。
『ナイトの国』の誰かが言った。
これはゲームだと。
敵の大ボスはこの悪魔ナース。キャラの強さでは申し分ない。
立ち向かう主人公はカリス姫。姫は助けられるのがお約束だが、時代が時代なので、ヒロインも自ら闘わねばならない。
ミッションは時間内に目的地到着。
実に単純明快でなんのひねりもないが、初代のファミコンを初めて見た時のようなわくわく感がある。
「で?莉栖花。
どうするんだ?
身動き取れないぞ」
お父さんは私の横顔を見て尋ねた。
スマホから顔を上げ、正面を見ると、フロントガラスいっぱいにゲームの画面が映し出された。
ステージⅠ。
残機0の表示が左上に示されている。
姫専用機にカリス姫は乗り込み、準備は万端。
そして、残り時間の数字はみるみると減っている。
「えっ?
あっ……えーーーと」
焦って『ナイトの国』の住人のログと周りの景色を見比べ、ナビゲーションを口にした。
「うーんとね、とりあえずUターンして」
こっからよ。
はい、スタート」
吉元さんはそう言って、メタリックピンクの二つ折り携帯の画面を差し出した。画面にはストップウオッチのタイマーが表示され、同意も得ないままスタートを切られた数字はみるみる減っている。
「えっ?
ちょっ……ちょっと、待ってください。
私もセットします」
無慈悲(むじひ)な吉元さんのタイマーと私のスマホのタイマーは、数秒ずれた。
そして、同時に『ナイトの国』の住人に経緯(いきさつ)を伝える。すると、私を味方する力強いメッセージが湧き上がった。
『ナイトの国』の誰かが言った。
これはゲームだと。
敵の大ボスはこの悪魔ナース。キャラの強さでは申し分ない。
立ち向かう主人公はカリス姫。姫は助けられるのがお約束だが、時代が時代なので、ヒロインも自ら闘わねばならない。
ミッションは時間内に目的地到着。
実に単純明快でなんのひねりもないが、初代のファミコンを初めて見た時のようなわくわく感がある。
「で?莉栖花。
どうするんだ?
身動き取れないぞ」
お父さんは私の横顔を見て尋ねた。
スマホから顔を上げ、正面を見ると、フロントガラスいっぱいにゲームの画面が映し出された。
ステージⅠ。
残機0の表示が左上に示されている。
姫専用機にカリス姫は乗り込み、準備は万端。
そして、残り時間の数字はみるみると減っている。
「えっ?
あっ……えーーーと」
焦って『ナイトの国』の住人のログと周りの景色を見比べ、ナビゲーションを口にした。
「うーんとね、とりあえずUターンして」
