カリス姫の夏

私の差し出された右手は、ほどなく温かい温もりで包まれた。その感触をゆっくりと確かめてから私が頭を上げると、そこにはめまいするほど輝く笑顔があった。

あっ、繋がった。


私と藍人くんは、今、各自の右手という太い線で繋がった。


いや、それだけでは無い。

よく見ると藍人くんの後ろには、放射線状に無数の線が見える。その線の先には藍人くんが関わった人が、点となって結ばれている。

藍人くんの家族、
クラスメイト
学校の先生……


ふと振り返ると、私の後ろにも無数の線が延び、点と繋がっている。

私と繋がっている点は……
家族、
この夏、出会った……
さやかさん、
高橋さん、
大川さん、
みゅー、
タマミさん……いや、それはちょっと違うかな。
そして、ナイトを始めネットで知り合った人達……


私と結ばれている点は更に各自も線を出し、次々に点と繋がっている。
やがて、その点たちは互いに複雑に結びつきあい、たくさんの三角形や五角形などの図形を作り出していく。
作りだされた図形は、様々な色で染められていった。


その光景に、現実でも見覚えがあった。


そうだ。あのチャペル。

大川さんのお嬢さんが結婚式を上げたチャペルの天井。天井に張り巡らされたステンドグラスの光景と似ている。


そんな色とりどりのステンドグラスが、どこまでもどこまでも広がっていく光景が私の脳裏に映し出される。


ネットもリアルも関係ない。
私はこれからも、たくさんの点と繋がっていける。
線は未来に向けて音も無く増え続け、図形は複雑に細かくなりながら美しく輝いていく。


その光景を想像し、私の胸は踊った。