カリス姫の夏


ネットの仲間とナイトの未来に思いをはせ、黙り込む私を藍人くんは不思議そうに見た。


心配をかけまいと、私は話題を変える。


「そう言えば、この前総一郎師長が言ってたけど、藍人くんの家って病院なの?」


「あっ、はい。
線路を超えて向こう側にある病院です」


私との会話で敬語を崩さない藍人くんに、もどかしさを感じる。まあ、おいおいね、と思いながら更に尋ねた。


「お父さん、お医者さんなの?」


「はい、母も……姉も……」


私の中で引っかかっていた一つの疑問が、やっと解けた。


「そっか。
だから、病気のこととか対処方法とかくわしかったんだ」


「ああ、そうですね。
ちっちゃい時から、両親や姉たちが話してるの聞いてたんで。
でも、全然ですよ」


そう言って彼は栗色の髪をサラッとかき上げた。その姿は嫌味なく、くやしいけど格好いい。