そのとき、ふと、私の心の声が聞こえた。
『ねえ、莉栖花。
あんた今日、頑張ったよね。
そりゃあ、ネットの仲間の力も借りたけど、あんたにしては独りで頑張ったんじゃない?』
首からお守りのようにかけた巾着袋にそっと手を当てる。
『ねえ、ちょっとはあんた変わったんじゃない。
リアルの自分に少しは自信持ってもいいんじゃない』
パイプ椅子に腰を下ろし、カバンからペットボトルを取り出してお茶を胃袋に流し込んだ。
『ちょっとだけ、勇気だしたら』
ぶつぶつと口の中で文句を言う華子さんに見つからないよう、巾着袋から紙を取り出す。メルアドがぎりぎり見える大きさに紙を広げ、自分のスマホと見比べた。
今日の出来事が私の背中を押す。
私の中のネガティブも今日ばかりは出番がないと諦め、タヌキ寝入りを決め込んでいるようだ。
よしっ!
今ならイケル!
私は紙に書かれたアルファベットをコピペするように打ち込んだ。
