「佐野くんに会わせて!」
「え…」
「は?」
「あー、違う違う。
佐野くんがよかったらなんだけど
夏休み、あたしと舞と雄大と佐野くんで
どっかでかけないってこと」
「はいっ?」
百華さん、何を言いだす…。
無理だよ、無理!
慧太くんにも悪いし
もし慧太くんが、いいよといっても
あたしが大丈夫じゃない!
「…聞いてみるわ」
「え、雄大っ」
「なに、デートしたいんじゃないの?」
「やっ、き、緊張する…っ」
「いつものお前でいいんだよ」
さっきまで怖い表情をしていたのに
雄大は急に笑顔になって
あたしの頭をグリグリした。
…でもね、あたしわかるよ。
雄大、切ない顔してる。
「…っ」
「聞くぞ?」
「うん、よろしくー」
あたしの変わりに百華が返事をした。
雄大は慣れた手つきで
打ち始める。
「はい、送信かんりょ」
すると
「あ、いいって」
「えぇっ!?」
へ、返信はや…!
しかも、え?
…なに、「いいって」?

