「あ、ねぇ、佐野くんじゃない?」
「え?」
あたしの後ろを指さす百華。
あたしも後ろを向くと…。
友達と楽しそうに話しながら
後片付けをしている慧太くん。
「わ、わわわっ」
「あはは!てんぱってる~」
「…っ最後、かな」
「そんなこといわない!
電車で会えるって信じなさい!」
「う、ん」
12月、気温は寒いのに
慧太くんの笑顔をみて
心は温かくなった。
すごいね、慧太くん…。
よく知らない人にも、
あの笑顔で心をカイロ状態にする。
「帰りの電車、合わせる?」
「え、いいよ、そんなの」
「もし一生会えなかったら
どうするの?」
「…」
「よし、電車合わせよう!」
百華があたしの前で
ガッツポーズをする。
あたしは小さくうなづいた。