「おーい、久遠さん」
「…」
「久遠さーん」
「っへ!?あ、な、なに?」
「いや、ボーとしてたから」
「へ、あ、ごめんねっ」
分からないこの感情。
顔をあげると
少しでも動いたら、
唇と唇がくっつきそうなほど、
慧太くんとの距離が近かった。
「あ、ごめん」
バっとあたしから離れる慧太くん。
きっと、あたし顔真っ赤だ…。
自分でもわかるもん。
「っつか、あれ?
あいつらいないし…」
悪い、探してくるわ
慧太くんは軽く手をあげると
そのままどこかに
消えていった。
「ねぇ、舞。
あの慧太くんて人、
舞のタイプでしょ?」
「へ…っ?」
「嘘つかなそうだし」
「…っあ、あのね百華…」
自分でもわからないから、
あたしはさっき
自分で感じたことを百華に話した。

