「じゃあ」
軽くあたしたちに会釈をすると、
その男の人は、
友達と一緒に歩き出した。
「ねぇ、あれ隣の中学校だよね?」
「え、そうなの?」
「うん、制服でわかった」
「へ~」
正直、他校は全然わからない。
制服でわかる百華ってすごい。
あたしなんて、
高校生かと思ってたもん。
「かっこよかったね?」
「へっ…、あ、うん」
「おっ?舞さんにもようやく…!?」
「え、違うよ違う!
百華がそういうからでしょ~?」
あたしがそういうと、
百華は笑いながら
早く行こう、といって
高校に向かって歩き出した。
川本先輩が、今日絶対いる
って決まったわけじゃないけど、
ルンルンな百華の隣で、
あたしはぶつかった男の子のことを
考えていた。
百華の言うとおり、
確かにかっこよかった。
あたしより15cmくらい高い身長。
目は男の子だけど大きくて、
あごがスってシャープ。
黒髪に、後ろから見た、
あの子の笑い顔。
…なんだろう、
変なあたし。

