男は膨らんだ指で自分の腹をさわってみた。

ぶよぶよとしており、ぎゅっと突けば、中の成分が薄い草色のアメーバーのようなゲル状の玉となり

空中にぷかり、ぷかりと飛んでいった。



男は自分の腹の中になんにもはいってないのではないのかと、不安になり

目の前の
パンパンに膨らんだこの死体を食べる事で
からっぼを埋めようとした。


誰だっていい。

誰だって構わないさ。


満たされないと感じる気持ちをただ埋めるだけだ、と。


ナイフを構えて

フォークを突き刺した。


その瞬間に、ぶしゅぅと音をならしながら

死体は彼方へと飛んでいってしまった。