「…ゆ、悠紀くん。
先に行ってるね」

驚いて見上げると、教室を出ていく関根のポニーテールが見えた。

…って言うか。
いま。
『悠紀くん』って呼ばれたのは、俺の気のせいか?

一瞬、思考が停止しかけた俺に、ニヤニヤ笑いの相川の視線が刺さる。
その隣には、不機嫌な沼田がいて、
添田と松下は、驚いた顔をしている。

「根本、ごめん。
関根ちゃんのことは諦めるよ」
沼田はそう言って、帰って行った。

呆然としてる俺に、
「詳しいことは、山口くんに聞いてね」
と相川。
そのまま、
「晴美、もも。帰ろう」と、3人で帰って行った。