なんて声をかけてやったら良いのかわからなくて
そんなこと思っていたら
「俺、なかったことにする」
「は?」
いきなり訳のわからないことを言い出す。
「だから姉ちゃんが好きだったことをなかったことにする」
そう言った結菜の弟はものすごく悲しそうな顔をしている。
「なぁ…俺もさ少し前だけど」
言っていいのかわからないけど
「結菜に好きな奴いるの知ってて、ぶつかりまくってた」
結菜の弟は下に俯いたまま、聞いてるのかもわからない。
だけど俺は話しを続ける。
「でも全然振り向いてくれなくてさ。冗談としか捉えてくれねぇし」
「……」
こんなこと話して、なんかなるとは思わない。
「そんで振り向いてくれない苛立ちで、結菜の好きな奴殴った」
その言葉を聞いて俺の顔を見る。
それを見ると、ものすごく目を見開いてる。
「自分勝手な気持ちで殴って、結菜傷つけたから、もう終わりにしようって思った」
「傷つけたってどういうことだよ」
少し怒ってるようにも聞こえる。
「いや、冷たく接しただけでなんもしてねぇよ」
少し危なかったけど
「それでなんだよ」
先が気になるのか『早く言え』と言わんばかりに促す。

