「さて、全員揃ったから、早速紹介する」


皆がそろって、祐兎が淡々とそういった。


「藤堂麗華。3年C組15番乙女座A型。よろしく」



「ちょっ!!麗華さん、何その自己紹介」


磯部くんが吹きだした。


あれ?
これ、結構本気の自己紹介なんだけどな・・・。



「ね、“さん”付けってやめない?麗華でいいし」


「なぁ、麗華ちゃん、REIって呼んでもいい?」


「おっ?いいじゃん、たけし。
 折角使ってたバンド用の名前だし」


“たけし”って・・・。
武田くんのこと?



ああ、“武田真二”で“たけし”ね。


わっかりやすぅ・・。



「えっと、それはReesで使ってた名前だから
 別にそれじゃなくても・・・」


「なんで?親しみを込めてそう呼ぼうぜ?
 俺の事もたけしでいいし」


なんで?って、こっちのセリフだよ。


どうして“REI”にこだわるの?
普通に麗華でいいのに・・・。


あたしが黙っていると、武田くんは困った顔をした。


「ごめん、そんなに嫌ならべつに・・・」


「え?あ、いいよ、大丈夫“REI”でもいいから。
 ね?たけしくん」


あたしがたけしと呼んだことが嬉しかったのか、
武田くんはぱっと顔を明るくした。


この人、分りやすいなぁ。


こんなほんわかした人がほんとにドラムやるのかな?





あたしはそこで重大なことに気付いた。



「ねぇ、あたし、みんなの演奏まだ見てないんだけど」






「「「え?」」」