亜貴の言っていたライブの件数は
予想していたものよりも多くて、


あたしたちが練習する曲数も、
ものすごい数になっていた。


勉強なんてそっちのけで、
ほとんどバンド、バンド、バンド一色だった。


思ってたけど、このメンバーはみんな、
バンドとなると真剣で、
本気を出すとみんなとても上手い。


ただのふざけた高校生じゃなくなる感じに戸惑う。


今日も、ライブを2件こなした帰り道。


みんなで集まっていた。




「お疲れー」


「REI、あそこ間違えなくなったっスね?」


「そう?ありがとう」


「・・・のかわりに別な曲は間違えたけどな?」


「うっさい、祐兎」


「まぁまぁ、次がんばろうよ」



正直、こんなに大変だと思わなくて、
あたしはみんなとじゃれる元気もなかった。


適当に言葉を返して、
あたしは椅子に座って休憩する。



亜貴があたしの隣に座って、
あたしにペットボトルの飲み物を手渡してきた。



「ありがとう」


「ん。」


「あれ?リンゴジュース?」


「ああ、喉を過度に使った後は、
 水とかお茶よりもこういうのがいいんだ」


「へぇー。そうなんだ。勉強になるね」



リンゴかぁ。


お茶とか水が一番だと思ってたけど・・・。



亜貴は本当に何でも知ってるんだなぁ。