来た。
なんか、久しぶりに始まった。
待ってろっていう意味なんでしょ?
「はいはい。
待ってますよー。もぅ」
あたしはそばにある椅子に座って
音楽を聴き始めた。
みんなもまた始まったって
ぶつぶつ言いながら帰る準備をして出て行く。
亜貴が出て行くとき、
亜貴はあたしの肩をとんとんと叩いた。
イヤホンを外して亜貴を見ると、
亜貴は祐兎に聞こえないようにいった。
「何かあったら、すぐに連絡しろな?」
「うん。ありがとう。亜貴。お疲れ様」
亜貴はそれだけ言うと、
苦笑してスタジオを後にした。
あたしと祐兎の2人だけになる。
祐兎はあの日と同じ、
背を向けて何か作業をしていた。
まーた、
人を待たせておいて何やってるんだか。
あたしはそっと近付いた。
見ると、
また何かを彫っているところだった。
「ねぇ、また何か彫ってるの?今度は何?」
あたしが言うと、
祐兎は一度あたしの方を振り向いて、
またすぐに作業をし始めた。
「あ・・・それ・・・・・・」