だって、こんなの不意打ちすぎる。
告白の返事をしてくれないのかと思わせたところで、こんな印象強いことをしてくれるんだもん。
篤志は、あたしが欲しかったものをくれた。
「だってこの方がインパクトあるし、一生忘れられない告白になるだろ?」
「そりゃあ、そうだけど……。文章が長すぎるのよ。何か途中、卒業証書っていうより表彰状みたいだったし」
受け取った画用紙を見れば、ボールペンで書かれた篤志の文字がずらりと並んでいた。
文字列が徐々に歪んでいるのは、大雑把な篤志らしい。思わず、くすりと笑ってしまった。
「別にどっちだって良いだろ。書いてあるのは全部本当のことだし。つうか、文句言うなら返せ」
「嫌だ! これはもうあたしのものだもん!」
手を伸ばしてくる篤志に奪われないように、画用紙を自分の身体の後ろに隠した。
返すわけないじゃん。
インクが滲んだ文字も、歪んだ文字列も。
……あたしのことを考えながら、たくさん絞り出してくれた言葉も。
受け取った瞬間から、あたしの大切なものになっているのだから。
「彩愛」
いじけた子供のようにそっぽを向いていると、教壇の机に肘を置いて篤志は身体を乗り出してきた。
そしてあたしの頬を何度もつついて、自分の方に無理矢理向かせてくる。



