再び医局のドアが開いて姿を見せたのは飛翔。



飛翔にも同じように勇が飲み物を手渡すと、
ブラックコーヒーを飲み干す。



「飛翔、裕兄さんにも何時でも動いて貰えるように頼んだ。
 だから総本家で何かあったら、すぐに連絡して。

 僕もすぐに動けるように準備はしたから。
 飛翔が出来なくても、由貴は電話くれると思うから」


「えぇ。
 その為のお目付け役で、私は同行するのですから」



そんな言葉を声にしながら、
飛翔の方をチラリと見つめる。



飛翔はただ無言のまま、
勇の持ってきたサンドウィッチを食べる。



食事が終わった後、飛翔は嵩継さんと、
いつの間にか医局に顔を出していた鷹宮院長に気が付いて、
二人の傍へと近づいてお辞儀をした。



「もう一度、神威を探しに行ってきます。
 今しばらく、研修を休ませてください」


深々とお辞儀をした飛翔に、

「あぁ、行って来い。
 見つけ出すまで帰ってくんな」

なんて言葉を告げる嵩継さん。


鷹宮院長はただ飛翔の腕を「頑張りなさい」と告げるように
トントンと叩く。



「由貴、行くぞ」



飛翔の言葉に、私も深々とお辞儀をして
慌てて飛翔の方へとかけていく。




私の愛車を走らす道程は、
何時か、勇と共に飛翔の車で帰ってきた道程を逆にたどっていく。



運転に見かねた飛翔が途中のSAで運転を交代して、
そのまま安倍村まで再び、車を走らせていった。