【お土産】



桐生「(親戚と両親と近所の人と……えーと)」


美弥「だーれだ!」


桐生「………小花さん」


美弥「えー! せいかーい!」


桐生「ひとつ教えてあげるけど、そういうのはだいたいその人の背後に立って目隠ししながら言わないと意味が無いと思うよ」


美弥「えー、だって届かないもん」


桐生「だからってそんな堂々と目の前に立たれて誰だって言われても……」


美弥「キリちゃんおみやげ買ったー?」


桐生「今買おうとしてるのを邪魔されてる」


美弥「みゃーにも買ってくれたりする?」


桐生「おんなじ場所にいるのに、小花さんに買う意味ないだろう」


美弥「あ、そっか。頭いいね、さすが生徒会長」


桐生「……小花さんは? そろそろ集合時間なるけど……買わなくていいの?」


美弥「買う買う! えーとまずはパパの分でしょー、みゃーの分でしょー、はるるんの分でしょー」


桐生「はるるん……三門春太のことか?」


美弥「そうだよ。はるるんはみゃーとクラス違うから、おみやげ買わないと!」


桐生「クラスは違うくても修学旅行で来てるところはおんなじだぞ。たぶん彼もここにいるからな」


美弥「えっ、そうなの!? どおりで、違うクラスの人も見かけるわけだ……」


桐生「京都に修学旅行きてるの自分のクラスだけだと思ってたのか……」


美弥「山さん(担任)がちゃんと説明してくれなかったから」


桐生「なんて説明するんだよ。実はこのクラス以外の人も修学旅行に来ています……とか?」


美弥「それくらいのことはしていただかないと……」


桐生「なんていうか……本当にアホなんだな……」


美弥「お褒めに預かり光栄です。誠に」


桐生「慣れない難しい言葉使うと、さらにアホがバレるぞ」


美弥「大変! お店の人にアホってバレたらおみやげ売ってもらえないかな!」


桐生「何でだよ……」


美弥「お金の計算が出来ない子だと思われる」


桐生「さすがにそれくらいは……」


美弥「昨日自販機に間違えておはじき入れようとしてたの、みゃー」


桐生「お金の計算以前の問題だし、財布におはじき入ってることも問題だ」


美弥「そういうことなので、これとこれが欲しいんですけど、キリちゃんみゃーの代わりにお会計してくださいな。これみゃーのお財布」


桐生「い、いくらなんでもクラスメイトの財布は預かれないよ……!」


美弥「大丈夫大丈夫、みゃーとキリちゃんはお友だちだから」


桐生「……なっ、あ……そ、そうなのか?」


美弥「お友だちは困ってるときに助けてくれるものです。違う? みゃー間違ってる?」


桐生「……ハァ。俺以外にあんまりこういうことしちゃダメだよ。悪い人も居るんだから」


美弥「キリちゃんは悪い人ですか?」


桐生「悪い人だったらこの財布抱えてとっくに逃げてます」


美弥「あは、じゃあいい人だ!」


桐生「いい人っていうか……お人好しっていうか……」


美弥「おみやげ買ったら一緒にアイス食べようね!」


桐生「……ご自由に」