【怖い話】



春太「……ぅ……ぇっ」


七世「泣くなよ……」


春太「だ、だって……怖い話してるのに……桜子が、ワッて……」


桜子「ちょっと脅かしただけじゃない。泣くなヘタレ」


真白「桜子と春太の立場が絶対逆だ、これ」


春太「だいたい修学旅行で怖い話とか……ベタじゃん……電気消すとか……目悪くなるじゃん……」


桜子「じゃあ帰りなさいよ。七世にしかり、あんたたち女子部屋に来るのにためらい無さすぎなのよ! そこあたしのベッド! 鼻水つけんな!」


白雪「でも、こうして皆でわいわいしてると修学旅行って感じしてすごく楽しいよ」


春太「はい天使きた! 癒されるう! 魔王は黙って電気をつけろ!」


桜子「誰が魔王よ! お前ら帰るまで電気つけねーからな!」


春太「もう怖いよお、寝れる気がしない……俺のベッド窓側なんだ……連れていかれる……」


桜子「どこによ」


春太「死んだじーちゃんのとこ」


桜子「連れてかれろ。孫の顔見たいって」


真白「……怖い話もう終わり? あぁ、ほら七世が飽きて寝ようとしてるよ」


七世「おい鈴木布団かけて、布団」


鈴木「私のベッドで寝ようとしてるこの人。フロントで斧とでかめのビニール袋借りてこよう」


白雪「な、七世くんが……山奥に埋められちゃう」


桜子「次誰か怖い話しなよ、なんかないの?」


春太「まじもういいよおー……涙が枯れる」


真白「怖い話かー、霊感も特にないし、心霊体験もこれといって……」


白雪「わ、わたしも……」


真白「鈴木は? なんかそういうの感じそう」


鈴木「お化けは食べられないからあんまり……」


真白「それに関しては虫も一緒だろ」


鈴木「え?」


真白「えっ、食うの?」


春太「あ……そういえば昨日さ、七世と夜中変な時間に起きちゃって、一緒にお茶買いに行ったときさー」


七世「…………」


春太「なんか急に七世が誰もいない廊下見て、今誰か通った? とか言い始めてさ、あれ地味に怖かったんだけど」


七世「…………」


春太「え、七世……? 言ってたよな」


七世「……いってない」


春太「は? 言ったじゃん」


七世「俺……昨日夜中お茶買いになんて、行ってないよ」


春太「…………は、え?」


真白「そういえば俺も昨日夜中にふと目ぇ覚めたけど、隣のベッドで普通に七世寝てたし……2時くらいでしょ? いなかったのは春太だけたったよ」


春太「じょ、冗談やめろよ……」


桜子「それって……」


春太「……え、な……え?」


桜子「ねぇ、春太……あんたその夜中に、誰と一緒に居たんだろうね?」


春太「……や、やだ」


桜子「真白も七世も部屋で寝てたのに……あんたは誰とお茶買ってたんだろうね?」


春太「い、イヤアアアァァ……ッ!!!」





七世「(まぁ、俺お茶買いに行ったけどね)」


真白「(嘘なのに……面白い)」


桜子「(騙されてるわ)」


白雪「(あ……七世くん達ニヤニヤしてる……嘘なんだ)」


鈴木「(寝たいのにベッドを返してもらえない……)」