【わがまま】



白雪「意外と外寒いねー、上着着てくれば良かった」


七世「俺のでいいなら着る?」


白雪「えっ! ううん、大丈夫! 七世くん風邪ひいちゃうとあれだし」


七世「俺も白雪に風邪ひかれるとあれなんで」


白雪「そ、そっか……あれか……ありがとう」


七世「おー」


白雪「……なんか変な感じだね」


七世「なに?」


白雪「あんまり知らない場所に、好きな人と2人でいる」


七世「…………」


白雪「あ、ごめん……変なこと言ってる?」


七世「いや、全然」


白雪「なら良かった」


七世「今日楽しかった?」


白雪「うん! ほとんど移動だったけど、友達とかと丸1日一緒にいるなんて、なんかワクワクする」


七世「それは良かった」


白雪「明日は大阪のテーマパークだよね、あの……えっと」


七世「また鈴木の面倒見るの大変そうな場所だな……」


白雪「……あ、うん……」


七世「……? どうかした?」


白雪「……なんでもないよ」


七世「苦笑い」


白雪「えっ」


七世「言いたいこと濁すとき、白雪って苦笑いするよね」


白雪「……そ、そうなんだ」


七世「気付いてなかった?」


白雪「……お恥ずかしながら」


七世「なんかあるなら、聞くけど」


白雪「で、でも……」


七世「無理には聞かない」


白雪「…………」


七世「泣かせると桜子に怒られるからね」


白雪「……七世くんは優しいから……自分の汚いところがすごく嫌になるの」


七世「そんなのある?」


白雪「あるよ……本当はね、すごくわがままで……すごく意地汚いのわたし」


七世「それは知らなかった」


白雪「そういうわたし……いや? ひいちゃう?」


七世「ひかないよ。白雪に限らず、桜子だって春太だって真白だって、自分だって。完璧な人なんていないから。表があるなら裏があるみたいに、人にはいろんな面があっていいと思ってる」


白雪「七世くんは……わたしに優しいからなぁ」


七世「いつも言うね、それ」


白雪「へへ、そうだっけ」


七世「うん」


白雪「……七世くん」


七世「はい」


白雪「あ、明日……2人だけで……まわりたい、です」


七世「それを言いたかったわけね」


白雪「うん、わたしの……わがままですけど」


七世「聞きますよ、わがまま」


白雪「ほ、ほんと……?」


七世「彼氏ですから」


白雪「素敵な彼氏ですね」


七世「それだけで?」


白雪「うん、七世くんはわたしにとってすごくすごく素敵なひと」


七世「そりゃどーも。……寒くない?」


白雪「寒いから……くっついてもいい?」


七世「お好きなように」


白雪「へへへ……はーい」