【後夜祭3】



鈴木「もう、追っかけてこないでって言ってる」


雅「だってお前に会うの久しぶりなんだもん」


鈴木「そんなの、自分が停学してるから悪い」


雅「好きで停学くらってるわけじゃねぇし。学校が悪い」


鈴木「そうやって喧嘩ばっかしてるとこも、自分が悪いって認めないとこも……好きじゃない」


雅「……蓮」


鈴木「だいたい、結婚とか言われても普通に考えて無理。わたし恋とかよく分からないし」


雅「じゃあ、俺が教えてやる」


鈴木「……不要」


雅「俺だって……好きで喧嘩してるわけじゃない」


鈴木「じゃあどうして?」


雅「この目つきの悪さだろ、両耳についてるピアスだろ、金髪だろ、短ランだろ……ダメだ。不良に目をつけられる要素が多すぎて……絡まれるんだよ。そしたら喧嘩しないわけにはいかないだろ」


鈴木「目つきはともかく……他はやめればいいんじゃない。ピアスはずして、黒髪にして、普通の制服着て」


雅「……このスタイルがかっこいいからヤダ」


鈴木「………もういい、逃げる」


雅「あー! 逃げるなって!」


鈴木「離して」


雅「離さない」


鈴木「雅くんのことは好きじゃない」


雅「でも俺は蓮が好きだ」


鈴木「そんなの雅くんの感情の押し付けでしょう」


雅「そうでもしないと、本当に欲しいものは手に入らないから」


鈴木「勝手だね」


雅「うん、不良の世界は弱肉強食だから」


鈴木「意味わかってる?」


雅「あんまり授業出てないからよく分からない」


鈴木「………とにかく、離して」


雅「やだ」


鈴木「お願いだから……今は離して」


雅「……今は?」


鈴木「……鬼ごっこなら、たまにしてあげるから……今日は逃げる」


雅「蓮!」


鈴木「だからもう追っかけてこないでね」


雅「わかった! 今日はもう追いかけない! また明日な蓮!」


鈴木「……たまにって言ったのに」