ミクの母親はジャンヌといった。ジャンヌは名字はスリザーク家以外には決して明かさなかった。夫であるカインにも明かさなかったそうだ。それにはとある理由がある。

彼女の正式名はジャンヌ・シュヴァリート。シュヴァリートとは……紫姫と添い遂げた王の名字だ。つまり、紫姫の血を正式に受け継いでいた末裔だったのだ。シュヴァリート家独特の特徴は、銀髪に蒼眼。しかし彼女は蒼眼だけ受け継いでいた。それだけなら見た目では発覚されづらい。

しかし、彼女は強い力を持っていたのだ。紫姫の時代は青い瞳を持つ者は、水の力を使えるという証拠にもなっていて、しかも少数ではあったが『治癒』という、怪我を癒すことのできる人がいた。今は消滅したと言われている。

当時の最高峰の水の力を持っていたのが、そのシュヴァリート家だった。その血を受け継いでいるのだから……もちろんジャンヌは強い水の魔法を扱うことができたのだ。