はあ~……暇だなあ。また友達が欲しくなってきたな。ひとりはつまらないや。ちょっとあの世界を覗いてみようかな。


……わあ、もうこんなに発展してる。人間は賢いね。

……愛?家族?そんなのがあるんだ。へえー、人間は本当に複雑だなあ。僕にはわからないけど、それって大切なものなの?知らないうちに性別なんてものができて、本当に人間は凄いなあ。




え、あ、嘘でしょ?なんで別の世界から変なのが来てるの?しかも人間襲ってる!早く出て行ってよ!僕の友達の世界を汚すなー!!


もう、人間だけには任せられない!直接人間に会うしかないね!




───どうしよう。世界に干渉しちゃった。時空が歪んじゃったなあ。どうしようどうしよう……でも、人間って面白いなあ。退屈しないなあ。

……また、話をしたいなあ。


あ、ダメだよ!争っちゃダメだよ!愛とかはどうしたの?なんで殺し合ってるの?

なんで、理解し合おうとしないの?人間って凄いけど、もうわからないや。この世界の時間の流れを早くしすぎたかもしれない。もっと、ゆっくり成長されば良かったのかな。自分たちの力に自信を持ちすぎて、それが反発し合ってるんだ!

誰が一番強いとか、そんなのどうでもいいのに。生きてればそれでいいじゃないか!



……それなら、強い人間が産まれればいいのに。最初から強い人間が、さ。そうすれば争う気も失せると思うんだ。でも、それは僕にはできない。できるのは、人間だけ。




あ、あ、あ……本当に強い人間が産まれてる!……紫姫っていうんだ。前は適応者が強い人間だったけど、今度は紫姫がこの世界に君臨したんだね。これからどうなるかはわからないけど、最近創った世界が気になるからそっちを見てこよう。



───冗談でしょ?ここまで、ここまで人間は進化できてしまうものなのかな。世界の時空を超えて、人間を転送してしまえるなんて。

それに、仲間の命を生け贄にして……それでいいのかい?怖くないのかい?悲しくないのかい?


やっぱり、人間はわからないや。




また、まただ、またなんだ。あいつらが世界に危険を及ぼそうとしてる。このままだと、今度こそ世界が危ない。


また、人間に会いに行こう。でも地上には降りたくないから、こっちに来てもらおう。彼女なら、どうにかできるはずだから。それに、紫族に知識を与えたせいでおかしな展開になってるし。

手を加えた人間が悪いのに、僕はまた手を差しのべようとしてる。本当は止めた方がいいんだけど、僕の世界はあいつらなんかに壊させやしないよ。





やっとあいつらとの繋がりが無くなったね。一安心一安心。僕はこれから少しこの世界から離れよう。そうしないと、この世界の均衡はさらに悪化してしまう。

時空の歪みを少しでも回復させないと、たちまち壊れてしまうからね。それに、紫姫もその数を減らしているから、しばらくは安泰かな。



ねえヴィーナス、どう思う?これから人間は良い方向へと進むかな?

それとも、後戻りできないほどに進化してしまうのかな?