「てめぇ、
 これに懲りて
 大人しくしとくんだなー」



…何度目かの台詞……。


指先一つ動かすのも
億劫で、オレはそのまま
地面の上に転がる。


……見上げると
空から雨が降っていた……。



今のオレ、
そのままに。






……アイツが
 自殺しようとした……。



アイツが
俺の前から消えようとした。


今も何もなかったのだと
思いたい。



海斗が
屋上から飛び降りたなんて
夢だったんだと……
忘れてしまいたい。




オレがあの時、
海斗を病室に
連れて帰っておけば……

アイツを
そのままに
しなければ良かった。



オレの傍では
いつも笑ってたアイツ。




その笑いの裏側に
隠れたものに
気付けずに
鵜呑みしたオレ自身。



何が医者だよ。



医大に入って
医師免とっても、
海斗一人
助けられねぇなら
あの時と
一緒だろうが。




親父とおふくろを
何も出来ずに
ただ見守るしか出来なかった
……あの時と……。