海斗の手術中を告げる、
ランプだけが
ダイレクトに視覚を刺激する。







そのままその場所から立ち去ると、
白衣と名札を医局のデスクに置いて、
関係者出入り口から、
夜明け前の町の中へと
彷徨い出る。
















オレはまた……
逃げ出すんだ。








大切なものを失うのが怖くて。







現実を受け入れるのが、
絶えられなくて。














脳内に浮かび上がるのは……
屋上から身を躍らせる海斗の姿。









見ていないはずの、
その光景が……
何度も何度も
オレの脳裏を掠めていく。













なぁ……
どうしたらいい?










オレは……
どうしたらいい?











その問いに対する答えは、
誰も教えてくれない。










ただ……静寂だけが、
広がり続けていた。