「そう、
 では次の場所を探しましょ」



水谷さんと勇人たちの会話を聞きながら、
オレは屋上に続く非常階段を目指して
駆け出す。




学生時代……
学校の昼休みとかを一緒に過ごした屋上。




アイツと二人、
屋上に転がって空を見上げるのが好きだった。





アイツ……
あの足で……。






そう思うと、堪らなくなって
非常階段を最上段まで一気に駆け上がった。




屋上に続く鉄の分厚い扉にゆっくりと手をふれる。


ノブをまわして、グイっと押し出すと
金属がこすれる音と共に、
ゆっくりとドアが開いた。





「海斗っ!!。

 居るんだろ」





屋上に踏み入れたオレは、
アイツの名前を呼びながら
洗濯物の合間を走りながら探す。





シーツの影。



フェンスに持たれるように、
煙草をふかす海斗の姿を見つけた。





「てめぇっ!!」




海斗の姿を見た途端、
いても経っても堪らなくなって
思いっきり一発いれる。



ベンチへと吹っ飛ばされた海斗、
そのままその場所に打ち付けられた。





アイツがふかしていた、
煙草の火を靴で揉み消す。




海斗は、ただオレを無言で睨みながら
口元を手で拭っていた。