最初はうっとおしかったけど……、
気がついたらアイツを
ベッドの上で待ってる俺が居た……。




……初めてだったんだよ。



俺を俺として
まともに見てくれたのは、
嵩継が初めてだった……。



誰かに自分を見て貰えるのが、
こんな嬉しいなんてこと……
今までは知らなかったし……
それでいいって思ってたのにな。




退院後……俺は、
嵩継が勧めるままに……
サッカーなんてものを始めた。


あんなもの
ただの球転がしだと
バカにして始めた俺だが、
嵩継のプレイを見て……
価値観が変わった。


アイツの隣に立ちたい……
アイツにアシストしてやりてぇー……。

そんな感情が
溢れて止まらなくて、
夢中でボールを追い続けた。

俺が嵩継と
全国大会のフィールドに
立つのも、
時間はかからなかった。

飲み込みと
センスだけはあったんだな。



嵩継の引退前の試合……
俺はアイツに一番近いポジションで
フィールドを駆け続けた。


優勝のトロフィ-を
学院に持ち帰るまで。

その日を最後に
嵩継はサッカー部を
引退して……
医大の受験に専念するようになった。


俺はV2を目指して、
嵩継の後をついで
ストライカーとしての日々を
過ごしつつ
時間を見つけて
アイツの家に
足を運んだ。