「俺もすぐに退院するからよ。
店……頼むわ」
そう言うと、おふくろは
簡単な手荷物を持って、
病室を出て行った。
嵩継は……
病室には顔を出す。
だけどすぐに、
仕事があるからと
消えてしまう。
アイツの仕事があるのは知ってる。
ここはアイツの職場だ。
それなのに……
アイツが俺の前からすぐに消えるたびに、
不安が押し寄せてくる。
前の入院の時とは、
何もかもが違うように感じる入院生活。
そして……
俺の腕に突き刺さる点滴の針。
この点滴が始まりだしてから、
俺はベッドの上から
動けなくなることも多くなった。
重怠くなる体。
それは……
発熱が原因だと言うこともわかった。
「入るぞ。海斗」
ウトウトして居た頃、
病室の扉が開く音で目が覚める。
アイツの手が額にあたる。



