レンガ作りを思わせる
暖かい色の巨大な建物の前
タクシーは滑り込む。

財布の中から、
タクシー代を支払うと、
トランクの中の荷物を
すべておろして
一か所に固めると、
その場で思いっきり伸びをする。

気合入れに、頬を両手で打って
いざ踏み込む病院内。


入ってすぐに聞こえる、
パイプオルガンの音色。


なんだよ
……此処……。


キョロキョロするオレに、
白衣姿のあの人が、
ゆっくりと近づいて来た。



「安田嵩継くんだったね。
 よく来たね」


オレを拾ってくれた
その人は、
後ろに数人の医師たちを連れて
姿を見せた。



「成元(なりもと)、
 彼があの、安田くんだよ」


意味深なものも含んで、
その人がそう告げると、
成元と呼ばれたその人が、
ゆっくりとオレに
手を差し出した。


「成元と言う。
 君の研修のサポートを、
 城山くんと共に受け持つ」

そう言うと、
その後ろに控えていた人が、
ゆっくりと会釈する。


「安田嵩継です。
 宜しくお願いします」

その場で、
これからお世話になる人に
お辞儀をする。


「成元、
 私は少し席を外す。
 
 嵩継を家に案内してくるよ」


そう言ったその人の元に、
琥珀色の髪の少年と、
黒髪の少年が姿を見せる。