そういや……
海斗の時もそうだったんだよな。


ちょっとしたことが
嬉しくなってさ。



オレの前で、
一つずつ本性が出ていくたびに
ちょっと、ほっとするって言うか……。



「そうだな。
 そりゃそうだ……。

 つーか、腹減った。
 ちょっとコンビニまで、
 つきあわねぇ?

 腹減ってると寝るのも出来やしねぇ」


そう言うのと同時に、
素直なお腹の虫は自己主張。


シーンと静まり返った空間に
元気よく響く、腹の虫。



「ふふふっ。
 
 お腹の虫は正直ですね。
 リズママ、嵩継さんのも作ってたから
 ダイニングにあると思います。

 食べますか?」


勇人の申し出に、
頷くとそのまま、ダイニングへと押しかける。


灯りをつけて、
テーブルに次々と並べられる晩御飯。


全てお皿に盛りつけられてラップされた
それらを勇人とは手際よく温めていく。




「これも飲みます?」



そうやって、勇人が手に取ったのは
ビール。


「それは?」

「僕のお酒かな。
 お義父さんも、
 千尋も……ビールは飲まないんだけどね。

 なんか……僕だけ、
飲みたくなっちゃって。

 って言っても、
 強くないからそんなに飲めないんだけど」



そう言いながら出した、
ビールを遠慮なしに手に取ると、
プルタブをあけて、
グイッと喉の中に流し込む。


喉を通過させると、
ため息と共に一息つく。