「異質?

 そんなことないですよ。

 お養父さんも、お養母さんも
 僕を実の子供のように扱ってくれますよ。

 千尋と同じように……。

 だから……僕は十分に幸せですよ」



にっこりと微笑み返して、
返す言葉も……
どこか、作り笑い的な要素が見え隠れするようで。



親密度をあげるほどまで、
会話を続けられないまま、
車は院長邸の駐車場へと
ゆっくりと停車する。


ちょうど同じように白のクラウンから降りてきた
千尋を見つけると、
勇人はそのまま駆け寄って、千尋と二人
家の中に入っていく。


そんな二人を見守りながら、
オレも屋敷の中へと入っていく。



「ただいま戻りました」



リビングのソファーにこしかけて、
ゆったりと刺繍をしながら過ごす
院長夫人に顔を出した後、
自室の寝室へと吸い寄せられるように向かい、
そのままベッドに突っ伏した。


2時間ほどの仮眠のはずが、
すっかり寝ちまったらしいオレが
起きたのは……4時間後。


携帯の時計は23時前を表示していた。



あっ、夕飯っ。


ヤバっと慌てて、
飛び起きるものの
こんな時間だ。



しゃーない。

コンビニでも
晩飯の買い物に行くか……。


財布をポケットに突っこんで、
部屋を後にすると、
母屋の玄関から外に出ようと、
足音を出来るだけ立てないように
ゆっくりと歩いていく。

リビングの手前を歩いている時、
室内の明かりが、ガラス越しに
漏れ出して……。


引き寄せられるように、
その部屋の取っ手に手をかける。