真実を切り込むには、
まだ出逢ってから日が浅すぎる。


想像ばかりが先だって、
まともな言葉すら出てこない。



墓穴った。



やけに……ジョン・レノンの歌声が
でかく聞こえやがる。



「あっ、すいません。
 驚かせちゃいましたね。

 いきなり妹とかって言われても、
 わからないですよね。

 僕、養子なんですよ。

 生まれて数か月。
 
 定期検診の時に、
 実の母親に出生した病院の中庭に
 置き去りされたんです」



はぁ?


病院の中庭にガキの頃に置き去り?

なんて話をサラっと言いやがるんだよ。
コイツは。



「幸い病院の関係者に発見されて
 出産に立ち会った、水谷さんが
 僕の母親知ってたんです。
 そこから病院長に話がいって……
 母が呼び出されて、
 20歳になるまで養子として
 過ごせることになったんですよ。
 20歳になった時に、
母の旧姓にまた再度、入りなおして
 今は、緒宮(おのみや)です。

 妹は、母の再婚相手との間の子供なんですよ」


淡々と説明するように語る勇人の言葉は、
無機質で……、それを語る勇人自身からも
感情の起伏が何処にあるのか、
見極めることすら出来ない。


「なぁ、だからなのか?

 お前があの家で、
 異質な感じがするのは?」



そう。


あの光の家族の中で、
勇人だけがどこかぎこちない。

必死に……家族であろうと、
自分を押し殺すようで。