「今日は、悪かったな。
 つきあわせて」

ゆったりとした車内で、
必死に眠気と戦いながら
眠らないために、
会話を試みる。

「いいですよ。
 僕も出掛ける
 予定がありましたから。

 車、車庫に戻しときました。

 運転し慣れた車の方が、
 僕も気が楽ですから。
 
 鍵、有難うございます」
 」

「予定?
 どこ行ってたんだ?」

「妹のところですよ。
 
 逢える時は、
 逢うようにしているんです」

不機嫌になるわけでもなく、
サラリと言葉を返す勇人。



その言葉をオレ的には
どう処理していいのか持て余して
思うように会話が続けられない。



確か……
院長の息子が、勇人と千尋。

だがこいつらは……
勇人が八月生まれで、
千尋が十二月だったか。

現実的にあの院長夫妻の実子じゃないのは
わかりきってる。

あの院長夫妻の実子は、
間違いなく千尋くんだろう。


けど……コイツも、
息子だろう?



あのリズ夫人の子供ではないにしろ、
院長の隠し胤。


腹違いの兄弟ってわけじゃねぇのか?