暫くすると、
嵩継は、電話を閉じて
俺の方に向き直る。



「助っ人召喚したから。
 まぁ、乗れって。
 オレが運転しなきゃいんだろう」


そう言うと、
後部座席に、
俺とおふくろを乗り込ませる。


荷物はトランクに詰め込んで。


そうこうしているうちに、
助っ人らしきヤツが登場。



嵩継は、
そいつの方に
駆け寄って、
こづきあいしながら
車の方に向かってくる。


助手席に、
乗り込むと
運転席には、
ソイツが乗り込んだ。



「勇人。

 コイツ、海斗な。
んで、海斗のおふくろさん」



後ろをチラリ見て、
運転席の奴に告げる。


んで、嵩継。

その勇人ってヤツは
お前の何?


部外者が入ってきたら、
うまく言葉、
切り出せねぇじゃん。




『退院しても、
 また昔みたいにつるんでいいか?』



せっかく話そうと思ってたのに、
そのチャンスを、ふいにしたのも
俺自身。



ちくしょー。

やっぱ、俺は大馬鹿野郎じゃん。




ガシガシと両手で髪を
かきながら、
目の前のアイツを見据える。




「嵩継さん……。

 僕の紹介、
 お願いしますね。
 
 後ろから、
 殺気を感じるんだけど」


勇人と呼ばれた奴は、
そう言いながら、
ミラーや座席を調節して、
エンジンをかけた。


「あぁ。
 海斗、コイツ勇人。

 今、オレが世話になってる
 院長の息子だ。

 家に居たから
 捕まえた。

 コイツだったらいいだろ。
 
 毎日のように、
 クラウン乗り回してやがるから」




そう言いながら、
楽しそうに嵩継は笑った。