パーティーリーダーの指示通り、
レントゲンを取って
処置室に戻ると
現像仕立てのX-Pを
シャーカステンに貼り付ける。
その映像を見てすぐに
左足関節脱臼骨折だとわかる。


「安田、どう診る?」

「左足関節脱臼骨折かと」

「あぁ。なら……手術決定。
 整形まわすか」


オレと柳井医師の会話を
聞いていた海斗は、
マジマジと
自分のX-Pを見つめる。


「なぁ、嵩継。
 骨折って、入院って時間かかるのか?
 別にその写真、骨はポッキリ
 折れてないだろ」


青黒く膨れ上がった
足しながら
何言ってんだよ。


「何?
 この患者、安田の知り合い?」

「はいっ。学校の後輩です」

「だったら後頼むわ。
 
ER勤務、
次に引き継ぎ済ませておくから
後は好きにしろ。解散」


処置室を出て行く
柳井医師を見送った後、
左足を庇いつつ
立ち上がろうとする海斗を
再度、車椅子に押し付ける。


「おいっ。
 海斗、あんま無理すんなよ」

「はいはい。
 
 ってか、
 嵩継、ようやく俺の名
 呼んだじゃん。

 お前が消えてから、
 今年が7年目だな。

 俺は高卒と同時に板前修業に行って
 今年、帰って来た。
 
 今はおふくろの店、手伝ってんだ」

 お前は?」

「大学でて、
 医師免とって、
 今はここで研修してる」

「J医、残らなかったんだ。
 今、あそこ氷夢華がいってんだ。
 お前追いかけて」


J医に
氷夢華が……。