翌日、
ERデビュー初日。
深夜3時頃、
三台続いて入ってきた救急車。
一人は交通事故。
内臓破裂で運ばれてきた
オレと同じ世代の男性。
もう一人は棺桶に
片足突っ込んでそうな……もとい、
70歳の男性で心停止<アレスト>。
最後は……
自宅が放火されちまったらしくて、
火傷で運ばれてきた20代女性。
新婚家庭の悲劇。
旦那の方は
別の病院に収容されたらしい。
オレは爺さん担当。
パーティーリーダーの指示通り動いて、
懸命に処置はしたものの
爺さんは戻らず。
心マ繰り返して、
電気除細動機<カウンターショック>しながら
回復を図ったけど反応なし。
しまいにゃ、
直接心臓握るしかないと
消毒液ぶちまけて、
メスで一気にひいて……。
それでも戻らず初担ぎ。
「安田、お疲れさん。
江村に聞いたよ。
一人担いだんだってな」
今日のERパーティーの一人、
脳外<ノウゲ>の
柳井医師が話しかけてくる。
「あっ……はい……」
「俺の日は憑くらしいからなー
覚悟しとけよ。
まぁ、心停止<アレスト>で
運ばれて来た場合じゃ
それ以上は死なんって。
おっと……これは院長にはオフで頼むよ」
豪快に声を出しながら、
自分のデスクへと戻っていく。
憑くと脅された割には……
それ以降は、
運び込まれた患者も
救急車搬送の割には、
意外と軽症の患者が続いた。
そして……勤務終了間際、
入った一本の電話。
すかさずオレは
受話器を掴むと、
チームに聞えるように復唱する。



