Eternal Silence




『おっ、おい。今、ランプが消えたぞ』


マスコミの人たちの声が、
一際騒がしくなる。

そして
押し寄せる力も強くなる。

お父さんが出てくる瞬間を
撮ろうとカメラが
シャッターチャンスを狙い、
ビデオカメラを
まわしはじめる。


手術室の扉が
背後で開く音がして、
その瞬間……
複数のフラッシュが
何度も何度も光る。


『院長、
 患者さんの容態はどうなんですか?』

『記者会見は
 何時から始まるんですか?』


お父さんに
次々に集中するマスコミの嵐。


「マスコミ各社の皆様
 お騒がせして申し訳ありません。
 記者会見は15分後に、
 いつもの通り
 礼拝堂において行います。
 今、暫らくお待ちください」

お父さんは何時もの
落ち着いた
威厳のある口調で、
マスコミにそういい終えると
隣にいた成元医師に
視線で合図を送り、
成元医師は
マスコミ関係者を
礼拝堂へと
引き連れていく。


そして誰も居なくなった廊下に、
井津さんが寝かされた
ストレッチャーの駒が
まわる音が静かに響く。



「……お父さん
  ……海斗さんは?」

「大丈夫だ。
 それより
 Rizと勇人は?」

「勇人が
 お母さんと
 一緒にいるよ」

「……そうか……。

 千尋、
 大変な思いを
 させてすまなかった」


お父さんのその声を聴いた途端、
僕は全身の力が
全て抜けてしまって……


視界が真っ白になって
……意識を手放した……。