第一報の
連絡から八時間。
外は太陽の光が
輝きを見せる。
今もまだ、
オペ室の扉は開かない。
僕も勇人も、
洋服越しに……
クロスを握り締める。
『……神様……、
海斗さんを
お救いください……』
シーンと
静まり返った空間。
ふいにそれを打ち消すように、
抑えたはずのマスコミが押し寄せてくる。
『鷹宮さん、
何時まで
待たせるつもりですか?』
『本当に会見、
開く気あるんでしょうね?
会見を開けるなら
とっとと開いてくださいよ』
「勇人、お母さんの傍に行って。
僕は、此処で対応するから」
勇人が母か居る部屋へ
駆け出したのを見届けて
今まで以上にクロスを
強く握り締めながら、
オペ室の扉の前で
大きく両手を広げる。
何度も何度も、
繰り返される誹謗や中傷。
せきとめようとしても、
せき止めきれない人波。
圧迫される体。
僕はその人波に
押されるようにして
床に倒れこむ。
ゆっくりと体を
起して再度、
オペ室の扉に背中を
こするようにして中に割り込むと
もう一度大きく両手を広げた。
「記者会見は必ず行います。
僕はそう皆様に約束しました。
まだ緊急手術は終わっていません。
記者会見は、
必ず、病院長に対応させます。
この場所は病院なんです。
他の患者さんたちも
沢山いらっしゃるんです。
非常識な行為は
どうかおやめください」
何度も何度も
同じ言葉を
騒々しいマスコミの人たちに
向かって繰り返す。



