アイツのラストレター。



読み終わったオレは、
目から流れ落ちた涙を
ゴシゴシと掌で拭って、
封筒の中へと戻した。








病院に近づいてくるサイレンの音。




喫茶室に飛び込んできた
ERの看護師がオレの名を呼ぶ。





「おばさん、すいません。

 急患なんでオレ行きます。
 海斗、連れて来てくれて有難うございます」




そう言うと喫茶室を飛び出す。


ERに走っていくオレの背後から、
城山さんの声が聞こえて、
医局に投げ捨てたはずの白衣を投げ渡される。




受け取ったそれを
走りながら羽織ると、
成元御大の声が飛び交う処置室へと
飛び込んだ。








いつもと同じ毎日が
今日もオレを優しく包み込む。