「嵩継、辛いだろうが
 最期の仕事を」






支えるように、
告げられた言葉。






海斗の手を離して、
ゆっくりと呼吸を整える。









心電図モニターに
もう一度を目を向けると
覚悟を決めて、
海斗と向き合う。




呼吸の不可逆的停止

心臓の不可逆的停止

瞳孔散大「対光反射の消失」









その全ての確認を終えた時、
医師としてはオレは、
海斗の死を通知する。









震える声で、
その死を告げた後、
院長を始めとするその場にいたスタッフは
海斗に向かって、ゆっくりとお辞儀をした。





慌ててオレもそれに続く。






海斗を見つめながら、
その場から動くことが出来ないオレに
院長は告げた。





「よく頑張ったな。
 井津くんの傍にいてやれ」






その言葉を聞きながら、
オレのその場に崩れ落ちた。






海斗が旅立った後も、
遺族のするべき務めは留まらない。





手配された葬儀社と
何度も話し合いを重ねる。





オレは院長の好意に甘えて、
海斗の傍でアイツを見送る準備をした。