「海斗……お前……」




目の前に並べられた、
小さな芸術を見つめるオレに向かって、
アイツは照れ隠し。



「ほらっ、食えよ。

 バーベキューの方も準備出来てるぞ」






いやっ、バーベキューって。



肉も嬉しいけどよ、
お前……こんな無理しやがって。





勇人に押されて、
鉄板の方へ移動したアイツを見送りながら
初めて……海斗が作った、懐石を口に運んだ。





どれも……アイツらしい、
優しい味がした。






同じように、アイツの手料理を食べた奴らから
自然と笑みが零れ落ちる。





最後の最後に
オレの知らないアイツを見れた気がした。




その夜、ケアセンターの中庭に
集まってくれた仲間たちも、
楽しそうに、その時間を共有してくれた。