四季を閉じ込めた懐石に
看護師たちは、
何か言いたげに俺を見つめた。





「海斗……お前……」




テーブルに並べたその料理を見つけた嵩継は、
俺をただ黙って見つめる。



「ほらっ、食えよ。

 バーベキューの方も準備出来てるぞ」





わざと……声を張り上げると、
勇人に頼んで、
車椅子を動かして貰う。






おふくろにも……嵩継にも、
ここでお世話になった人にも
俺なりに……お礼は出来たはずだ……。









俺の料理を食べて、
笑ってくれる人たちの笑顔を抱いて



俺の前で……
楽しそうに笑いかける
嵩継の笑顔を抱いて
俺は……旅立って逝ける。










それも……
この場所がそうさせてくれたから……。











その日は……闇が降りて来ても、
賑やかな時間は続いた。