何日間か高熱で
寝込んだらしかった俺は、
その日……久しぶりに、
嵩継を見つけた。





大部屋から個室に
運ばれたらしい俺の病室。



オレが眠るベッドの隣、
アイツが持ち込んだらしい
簡易ベッドで
アイツは眠ってた。






「嵩継……」






声をかけると、
アイツは眠っていたはずなのに、
すぐに体を起こして、
俺の方に向き直る。





「海斗、起きたか?
 痛いとこないか?」


「喉乾いた……」







そう告げると、
アイツは手慣れた手つきで
冷蔵庫を開けると、
ストローを俺の口元に近づける。






久し振りに
水分を飲んだ気がした。







視線を移すと……
抗がん剤らしい点滴は、
姿を消していた。






「寝てた間に
 今回のクール終わったんだ」




そう問いかけた俺に
嵩継は何も答えなかった。




「もう少し寝ろ。

 朝になったら、
 上村先生と話してやるよ。


 オレも……
 もう少し寝かせてくれや」 




アイツはそう言うと、
ゴロリと転がって
いびきをかきながら眠り始めた。