レントゲン室。




アイツの状態を映し出す映像に
思わず凝視する。





くっきりと映るのは、
肺の影。






思わずシャーカステンにライトアップされた
映像に指先を触れる。






「城山さん
 ……これって……」





転移性肺腫瘍。




「転移してるみたいだね」





薬が効いて、眠り続ける
海斗を黙って見つめる。





「城山さん。

 胸腔鏡下肺部切除をして……
 コイツは後どれくらい
 生きれますか?」






そう問いかけたオレに
城山さんは、
無言で首を振った。









海斗の最期が……
すぐ傍まで近づいているのを
思い知らされた瞬間だった。










その日から……オレは、
海斗の病室で勤務時間外を
過ごすことが多くなった。





海斗の病室が個室になったことをいいことに、
簡易ベッドを持ち込んで、
アイツと同じ時間を過ごす。









海斗が目覚めた時……
オレはまた残酷な
現実をアイツに突きつける。







どれだけ目を背けようとしても、
逃げることの出来ない現実。