うへぇ。



見なきゃよかった。








見なきゃ、それなりに過ごせたかも
知れないのになんて馬鹿なことを
考えながらも見てしまったものは、
後の祭りで。





一気に気力もなくなった俺は、
遠ざかる意識を必死で保ちながら
ベッドサイドのボタンを押した。





「井津さん、どうしました?」







ナースステーションからの声は、
ラスボス。





「嵩継、居る?」

「安田先生にはPHSで連絡します。

 どうかしましたか?」

「熱でちゃって……」

「すぐに行きます」







ラスボスの声を微かに感じながら
俺の意識は崩れ落ちた。